今回の弊社の Grant Thornton のニュースレターでは、公演やスポーツなどに参加する外国人の芸能人、歌手、スポーツ選手、サッカー選手、スーパーモデルなどに関わるベトナムでの公演期間に対する個人所得税の納税義務について検討してみたいと思います。
ベトナム国内法の規定によれば、文化・芸術・体操・スポーツの公演への参加から得る所得、広告サービス料、その他サービス料、その他報酬、および、個人のためのホテル宿泊費・移動手段費などの現金以外での経済的利益は、ベトナムでの課税所得となります。従って、公演やスポーツなどに参加するために来越する外国人の芸能人、歌手、スポーツ選手、サッカー選手、スーパーモデルなどは、ベトナムでの公演期間に対する個人所得税の納税義務を負うことになります。在ベトナムの機関が外国の管理会社へサービス料を支払う場合には、この支払額は、ベトナムでの外国契約者税の課税対象となります。いくつかの例を挙げますと以下の通りです。
事例 1: ベトナムの公演会社 V社からの招待を受けた韓国居住者の歌手が、ベトナムでの公演を行い、500百万VNDの報酬を受取ります。その他、この歌手は、V社からホテル宿泊費、移動手段費の支払いを別途してもらいます。公演参加のためのベトナム滞在日数は3日間です。ベトナムの個人所得税法の規定によれば、この歌手は、受取った報酬、および、現金以外での経済的利益(ホテル宿泊費および移動手段費)に対して、ベトナムでの個人所得税の納税義務を負います。
事例 2: ベトナムの公演会社 V社および韓国の会社 X社との契約(交渉により韓国で締結された)に基づいて、韓国の歌手がベトナムを訪問して公演します。ベトナムの税法の規定によれば、X社がこの契約から得る所得は、ベトナムでの外国契約者税の課税対象となります。契約書において、サービス報酬とは別に歌手に対する現金以外での経済的利益の支払いを定めている場合には、両方の支払いが X社の所得として見なされて、ベトナムでの外国契約者税の課税対象となります。
現在、ベトナムは、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための条約(租税条約)を世界75カ国・地域と締結しています。租税条約は、二重課税を排除し、ベトナムが課税権を持つ所得と外国が課税権を持つ所得の区分をしています。そのなかで、租税条約では、通常、芸能人およびスポーツ選手などを対象とする個別条項を設けています。従って、租税条約毎の個別条項の内容を検討することが、ベトナムでの公演活動から所得を得る歌手や外国の会社が納税義務を持つか否かの判断をする上で重要になります。
納税義務が発生する場合、芸能人、歌手、スポーツ選手、サッカー選手、スーパーモデルが、外国の管理会社やサッカーチームを介してベトナムでの公演活動に対する所得を得るのであれば、これらの個人は、ベトナム税務当局に対して、直接、個人所得税を申告する義務を負います。
ベトナムの規定による申告が遅延しますと、税務手続き違反に対する罰金、延滞金利などのリスクのみならず、租税法違反が生じてしまいマスメディアでの報道をされてしまいますと、関係する芸能人、歌手、スポーツ選手、サッカー選手、スーパーモデル、および、外国の管理会社の信用や評判への悪影響が懸念されます。
弊社 Grant Thornton では、芸能人、歌手、スポーツ選手、サッカー選手、スーパーモデル、および、外国の管理会社やサッカーチームに対するベトナムでの税務コンプライアンス支援の経験を豊富に持っています。正確で漏れのない迅速なベトナムでの個人所得税の納税義務履行、または、具体的事例に対する個別租税条約の条項の最も適切な形での適用に関するアドバイスおよびご支援をさせて頂けます。
具体的なアドバイスやご支援をご要望される方は、弊社 Grant Thornton の税務専門家へお問い合わせ下さい。