1. ベトナム日本商工会からの税務に関する質問への回答となる2017年20月2日付けハノイ市税務局Official Letter 65143/CT-TTHT
ベトナム日本商工会会員企業からの質問に対する回答として2017年10月2日付けOfficial Letter 65143/CT-TTHTがハノイ市税務局から発行されました。留意すべきと思われる内容をいくつかご紹介致します。
- 自社で働く外国人専門家のために会社が負担する個人所得税の計算・申告支援サービス費用に関わる税務処理について:
- 法人所得税:Circular 96/2015/TT-BTC 第4条第1項が規定する条件を満足しており、かつ、両者間の契約書または合意書で具体的に記載されている場合、法人所得税計算に際して損金算入が認められます。
- 個人所得税:規定に基づいて個人所得税の課税対象になります。
- 在ベトナム子会社に赴任していた外国人が、赴任期間の終了に伴い個人所得税の確定申告を行い納税義務を漏れなく履行して帰国した後に、ベトナム赴任期間中に対する賞与支払いが発生して(親会社から精算のための請求書が在ベトナム子会社へ送付されて)、在ベトナム子会社がこの賞与費用を支出する必要がある場合、在ベトナム子会社がベトナム出国後の当該外国人へ支払うこの所得額は、ベトナム非居住者に対する個人所得税課税対象所得となります(非課税および免税の対象となる所得を除く)。在ベトナム子会社は、支払う際に税率20%で源泉徴収をする義務があります。
- 工業区、輸出加工区および経済区に関するDecree 29/2008/ND-CPへの修正・補足となるDecree 114/2015/NĐ-CP第1条第5項の規定によって、輸出加工企業が国内市場へ販売できることも確認されています。
2. スクラップ、不良品、加工のために輸入した余剰原料・資材に関わる税務取扱い
現在、スクラップ、不良品、および、加工のために輸入した余剰原料資材の処理に関して、Decree 134/2016/ND-CPとCircular 38/2015/TT-BTCとの間にある齟齬の為に、問題を抱えている企業が多くあります。
具体的には、Decree 134/2016/ND-CP第10条第4項では、「スクラップ、不良品、および、加工のために輸入した余剰原料・資材は、国内で売却する場合、輸入関税の免税を受けた加工契約に従い実際に輸入した各々の原料・資材総量の3%を超えないこと、そして、付加価値税、特別消費税、環境保護税(対象となる場合)を税関当局へ申告・納税すること」と規定されています。
一方で、Circular 38/2015/TT-BTC第64条第5項では、「加工のために輸入した余剰原料・資材は、国内で販売・売却する場合、実際に輸入した原料・資材総量の3%を超えないこと。使用目的変更の手続きを税関で行う必要はないが、税法の規定に基づいて内国税当局へ申告・納税すること」と規定されています。
先ず、Decree 134/2016/ND-CPでは、スクラップ、不良品、および、加工のために輸入した余剰原料・資材に関して規定していますが、Circular 38/2015/TT-BTCでは、余剰原料・資材に関してしか規定していません。スクラップや不良品に対して3%の制限を適用するのは、スクラップや不良品の比率が輸入原料・資材の3%を大幅に超過する業界が多いため、現実論としては合理的で無いのではないかという意見を多くの企業が述べています。
次に、双方とも、スクラップ、不良品、および、加工のために輸入した余剰原料・資材の処理に関する規定であるにも関わらず、Decree 134/2016/ND-CPでは、申告・納税を税関当局に対して行う内容になっている一方で、Circular 38/2015/TT-BTCでは、申告・納税を内国税当局に対して行い内容になっています。
この問題に関しては、2017年11月2日付けOfficial Letter 7166/TCHQ-TXNKが税関総局から発行されており、スクラップ、不良品、および、加工のために輸入した余剰原料資材に関わる税務に関しては、Decree 134/2016/ND-CPの規定に基づいて処理するとの見解が出ています。
税関総局によれば、現在、税関総局は、財政省に対して関連省庁からの意見徴収を行うよう建議しており、関連省庁の意見を取りまとめた上で、関連規定を適切に修正する内容について首相へ報告すべく財政省へ建議する予定だとのことです。
3. 外国へ出張するベトナム人の居住者判定
ベトナム人従業員が日本での実習・職業訓練を受けるために会社から日本へ派遣される場合で、ベトナムに登録住所があるものの実際のベトナム滞在期間が税務年度中183日未満になる場合のベトナムでの居住者判定に関して、2017年10月25日付けOfficial Letter 4936/TCT-TNCNが税務総局から発行されました。これによれば、以下の2つから選択することになります。
- 日本の規定に基づく日本居住者に該当する場合、ベトナム非居住者として取り扱われます。もしベトナムで発生した所得について累進税率で源泉徴収されている場合には、非居住者として税額を計算し直して修正申告を行います。
- 日本の規定に基づく日本居住者に該当しない場合、ベトナム居住者として取り扱われ、累進税率により全世界所得に関わる個人所得税を申告します。
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